アジアの巨大な経済圏を巡る二つの構想、それがTPPとFTAAPです。この二つの大きな違いとしてまず挙げられるのは、経済圏そのものが太平洋中心なのか、アジア中心なのかでしょう。環太平洋戦略的経済連携協定がTPP、アジア太平洋自由貿易圏がFTAAP、といったように、その名にも表れていますよね。しかし、TPPとFTAAPの違いはそれだけではありません。もう一つ大きな違いとなるのが主導国です。
TPPはアメリカが主導権を握ろうとしている構想です。太平洋の向こうに自分が介入しにくい巨大な経済圏ができてしまう前に、自らが主導する経済圏を構築してしまおうというのが思惑でしょう。それに対し、FTAAPは中国が主導権を握ろうとしています。アメリカが主導権を握る経済圏を構築する前に、自分たちが支配できる経済圏を構築してしまいたいのです。
つまり現在、アメリカ対中国で主導権を巡る争いが起きている状態なのです。日本はというと、どちらにもつかずな状態といえるでしょう。ただ、FTAAPを実現したいためにまずはTPPを実現したい、と阿倍さんが発言していることから、アメリカ寄りではあると思います。